MENU

相続Q&A

遺言書の発見

父が亡くなった後、父が書いた遺言書と自筆で書かれた封筒が見つかりました。封筒を開けて中を確認しても構いませんか。

自筆で書かれた遺言書を発見した場合、速やかに遺言書を家庭裁判所に提出し、「検認」を請求する必要があります。「検認」とは、遺言書の偽造を防止するために、家庭裁判所で遺言書の内容を確認する手続です。封筒を開けずに、そのまま家庭裁判所に提出し、検認手続によって中を確認しましょう。

父が亡くなった後、5年前に作成された公正証書の遺言書と、1年前に作成された自筆の遺言書が見つかりました。どちらの遺言書が有効となるのでしょうか。

遺言書は、日付の一番新しいものが有効となります。したがって、1年前に作成された自筆の遺言書のほうが5年前に作成された公正証書の遺言書よりも日付が新しいので、自筆の遺言書が有効となり、古い公正証書の遺言書は無効となります。

法定相続分

被相続人、相続人という言葉を耳にしますが、どういう意味ですか。

被相続人とは、亡くなった方のことで、相続人は亡くなった方の遺産を相続する方のことです。

父が亡くなりました。相続人は、母とその子どもたち3人なのですが、それぞれの法定相続分はどのようになりますか。

相続人が配偶者とその子どもの場合、相続分は法律でそれぞれ2分の1とされています。そして、3人の子どもの間では、法定相続分は平等なので、2分の1をさらに3等分して、子ども1人の法定相続分は6分の1となります。
つまり、それぞれの法定相続分は、配偶者が2分の1、3人の子どもたちが6分の1ずつとなります。

亡くなった父の戸籍を調べていたところ、父が認知した子がいることがわかりました。その人にも相続する権利があるのでしょうか。

認知をすると、法律上の親子関係が生じますので、認知された子にも、遺産を相続する権利があります。

遺産を分けるにあたっては、法定相続分どおりに分けないといけないのでしょうか。

相続人全員の合意があれば、法定相続分と違う分割をしても問題ありません。

遺産分割

兄から「ハンコ代をやるから遺産分割協議書にサインしろ」と言われています。どうすれば良いでしょうか。

遺産分割協議書の内容によっては、ハンコ代をもらう代わりに、相続人としての相当の権利を放棄することになりかねません。すぐにサインをするのではなく、弁護士に相談をしたほうがよいでしょう。

 

相続人どうしで遺産分割の話し合いをしているのですが、話し合いがまとまりません。弁護士に遺産分割協議の依頼をすることはできますか。

できます。弁護士という第三者が間に入り、専門家として客観的なアドバイスをすることで、話し合いがまとまりやすくなります。是非相談にいらしてください。

 

遺産分割協議がまとまらない場合、裁判となるのでしょうか。どういった手続があるのか教えてください。

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割の調停の手続を申立てることができます。
調停では、調停委員が当事者双方から話を聞いて、解決案を提案したり、助言をしたりして、相続人間の合意を目指した話合いが行われます。
話合いがまとまらずに、調停が不成立になった場合には、自動的に審判に移行します。
審判では、審判官が遺産分割の方法を決定します。話し合いでの合意を目指す調停とは異なり、審判の決定には、強制力があります。

 

相続人が住んでいる場所はばらばらです。その場合、遺産分割調停はどこの裁判所でおこなうのでしょうか。

相手方のうち一人が住んでいる場所にある家庭裁判所に、調停を申し立てることになります。どこの裁判所で調停をするか、相続人間で合意をすればその裁判所で調停をおこなうこともできます。

 

遺産分割調停を弁護士に依頼したいのですが、どういった資料を準備すれば良いですか。

相続人を確認するための資料として、戸籍謄本、除籍謄本、相続財産を確認するものとして預金通帳履歴、不動産登記簿、保険証券などのご準備をお願いします。
また、遺言書があれば遺言書もお持ちください。もっとも、資料が揃わなくてもまずはご相談ということでも構いません。

 

相続人の中に重度の認知症の方がいます。その場合、どうすれば良いでしょうか。

遺産を遺言書に従って分ける場合や、法定相続分どおりに分ける場合には、重度の認知症の方も特別の手続なく遺産を相続できます。しかし、話し合いで遺産を分ける場合には、家庭裁判所に、成年後見人といって、認知症の方の代わりに財産を管理してくれる人の選任を申し立てる必要があります。

 

相続人の中に行方不明者がいます。その場合、どうすれば良いでしょうか。

行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に、不在者財産管理人の選任を申し立てる必要があります。

 

相続人の中に未成年者がいます。その場合、どうすれば良いでしょうか。

遺産を遺言書に従って分ける場合や、法定相続分どおりに分ける場合には、未成年者であっても特別の手続なく遺産を相続できます。しかし、話し合いで遺産を分ける場合には、家庭裁判所に、特別代理人の選任を申し立てる必要があります。

 

父が亡くなったのですが、実家が誰の名義だったのか知りません。どこにいけば調べることができますか。

法務局で登記簿の閲覧を申請すると、建物と土地の名義を確認することができます。また、登記情報提供サービスを利用して、インターネットでも名義の確認が可能です。

 

父が亡くなったのですが、父には先妻の子どもたちがいると聞いたことがあります。その方たちも相続人になるのでしょうか。また、その方に連絡を取るにはどういった方法があるのでしょうか。

お父様と先妻との間の子であれば相続人になりますが、先妻の連れ子であれば、お父様と養子縁組をしていない限り、相続人になりません。市役所でお父様の戸籍をとると、養子縁組をしているかどうか確認できます。
市役所で取得したお父様の戸籍からたどって、先妻との間の子の戸籍の附票を取得することで、子の現在の住所を知ることが出来ます。

 

亡くなった父名義の不動産があります。不動産の分け方にはどういった方法がありますか。

現物分割、代償分割、換価分割の3種類があります。
現物分割は、不動産を単独または共有でそのまま取得する方法です。代償分割は、相続人のうちの一部に不動産を相続させ、不動産の価格がその相続人の相続分を超えている場合には、その分を他の相続人に支払わせる方法です。換価分割は、不動産を売却してお金に換えて、そのお金を分割する方法です。

 

亡くなった父名義のアパートがあります。遺産分割の話し合いがもめていますが、その間のアパート家賃収入を兄が独り占めしています。どうすれば良いでしょうか。

家賃収入は遺産とは別個の財産で、遺産分割の対象とはなりません。したがって、遺産分割前であれば、各相続人がそれぞれの相続分に従って、家賃収入を分割取得します。話し合いで解決しなければ、裁判によって、家賃収入の返還を求めることも考えられます。弁護士にご相談ください。

 

父が亡くなり、相続人は兄と私だけです。生前、兄は自宅を購入するにあたって父から頭金を出してもらっています。遺産分割をするにあたってはその点は考慮されないのでしょうか。

自宅を購入する際の頭金であれば、生計の資本といえますから、生前贈与にあたり、特別受益となります。この分を考慮しないで法定相続分どおりに遺産を分けることはかえって不公平ですから、その分は考慮されることになります。

 

父が亡くなり、相続人は弟と私だけです。生前、弟は父名義の土地の贈与を受けています。遺産分割をするにあたってはその点は考慮されないのでしょうか。

土地の贈与は、生計の資本としての贈与といえるので、生前贈与にあたり、特別受益となります。この分を考慮しないで法定相続分どおりに遺産を分けることはかえって不公平ですから、その分は考慮されることになります。

 

父が亡くなり、相続人は妹と私だけです。生前、私は父の自営業を給料ももらわずにずっと手伝ってきました。遺産分割をするにあたってはその点は考慮されないのでしょうか。

お父様の自営業の手伝いは、被相続人の事業に関する労務の提供という寄与行為にあたり、遺産分割の際に寄与分として考慮されます。この分を考慮しないで法定相続分どおりに遺産を分けることはかえって不公平ですから、その分は考慮されることになります。

 

母が亡くなり、相続人は妹と私だけです。生前、私は認知症の母の介護をずっと一人で担ってきました。遺産分割をするにあたってはその点は考慮されないのでしょうか。

お母様の介護は、被相続人の療養看護という寄与行為にあたり、遺産分割をするときに寄与分として考慮されます。この分を考慮しないで法定相続分どおりに遺産を分けることはかえって不公平ですから、その分は考慮されることになります。

 

甥が亡くなりました。病弱の甥には身寄りがおらず、叔母である私がずっと看病をしてきました。甥の遺産はどうなるのでしょうか。

相続人がいない場合、被相続人の療養看護に努めた者は、特別縁故者として、家庭裁判所に相続財産の分与を請求できます。

 

遺留分侵害額請求

相続人ではない第三者に全財産を遺贈するという遺言書が見つかりました。遺言書が有効な場合、相続人である私たちは何も取得できないのでしょうか。

相続人(被相続人の兄弟姉妹を除く)には遺留分が認められているので、たとえ遺言が有効であったとしても、第三者に対して遺留分侵害額請求をすることができます。遺留分とは、法定相続人に認められる最低限の取り分のことを指します。

父が亡くなり、相続人は兄と私だけです。ところが、父の遺言書は全財産を兄に相続させるというものでした。私は何も取得できないのでしょうか。

相続人(被相続人の兄弟姉妹を除く)には、遺留分が認められているので、お兄さんに対して、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分減殺請求権には時効があるのでしょうか。時効とならないようにするにはどうすれば良いですか。

遺留分は、請求ができることを知ったときから1年間遺留分侵害額請求をしなかったとき、または、相続の開始の時から10年を経過したときに時効により消滅します。
時効とならないようにするためには、上記期間内に、遺留分侵害額請求をする旨を相手方に通知する必要があります。通常は、内容証明郵便で通知をします。

遺言書の有効性等

父の遺言書が見つかりましたが、生前の父は認知症で遺言書を書けるだけの判断能力があったとは思えません。どうすれば良いでしょうか。

遺言は、形式的要件を備えていれば有効と扱われるため、遺言能力を争って遺言を無効にするためには、遺言無効確認訴訟をする必要があります。弁護士にご相談ください。

遺産分割手続をしている最中ですが、父が亡くなった後も、兄が父名義の預貯金を勝手に引き出していることが判明しました。遺産分割のなかでその分は考慮されますか。

最高裁の判例が変更され、預貯金も遺産分割の対象になります。したがって、預貯金を勝手に引き出していることは、遺産分割において考慮されます。

相続放棄

父が莫大な借金を残して亡くなりました。父の預貯金も不動産もありませんし、このまま放っておけばよいでしょうか。

相続が開始されると、借金といったマイナスの財産も、相続の対象となります。したがって、放っておくと、借金をすべて引き継がなければならなくなります。相続放棄の手続をとれば、借金を引き継がなくてすみますので、家庭裁判所に相続放棄の申述をしてください。なお、相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内にする必要がありますのでご注意ください。

父が亡くなってから半年が経過した頃、父宛の借金の督促状が届きました。今から相続放棄手続をとることはできますか。

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内にすることとされています。相続財産の調査が困難で、亡くなった方に借金がないと信じて相続放棄の手続きをしなかった場合には、借金があることを知ったときから3ヶ月以内であれば相続放棄が可能です。ご事情にもよりますが、相続放棄が認められる可能性がありますので、家庭裁判所に相談してください。

遺言書の作成

遺言書を書きたいのですが、文章をパソコンで打って署名捺印すればよいですか。

自筆証書遺言は、本人が自書しなければなりません。パソコンで作成した遺言書は効力を持たないので、注意してください。

公正証書の遺言書があると聞きましたが、どういったものでしょうか。公正証書で作るメリットはありますか。

公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成、保管してもらう遺言です。公証人が作成するので、方式や内容について、専門家である公証人のアドバイスを受けることができます。また、原本が公証人によって保管されるため、偽造のおそれがありません。自筆証書遺言と異なり、検認の手続が必要ないので、遺言の執行をスムーズに行うことができます。

公正証書の遺言書を作りたいのですが、証人になってくれる人がいません。どうすれば良いでしょうか。

公証役場に頼んで、証人を手配してもらうことができます。

同居している子どもに全財産をあげたいのですが、そういった遺言書を作っても問題は生じないですか。

遺言書の効力には問題ありませんが、他の相続人の遺留分を侵害することになるので、
他の相続人が遺留分減殺請求をする可能性が高いです。遺留分減殺請求をされた場合には、同居している子が全財産を取得することはできません。遺言書を作成するにあたっては遺留分のことも考えて作成しておいたほうが良いでしょう。

遺言執行者とは何ですか。どういった役割をしてくれるのですか。

遺言執行書とは、遺言者が亡くなってから、遺言の内容を実現するために事務を行う人です。遺言によって遺言施行者を指定することができます。弁護士を遺言執行者に指定しておくことも可能です。遺言者が指定されていない場合には、相続人等の請求によって、家庭裁判所が遺言執行人を選任します。

不動産を複数所有しているのですが、相続の際にもめないよう遺言書を作成しておきたいと考えています。遺言書を作成するにあたってどういった点に注意すればよいですか。

遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。相続が発生した際に遺言の効力で争いが生じないためにも、公証役場にて、公正証書遺言を作成するのが安全です。また、遺言により法定相続分より取り分が減ってしまう相続人が生じる場合、遺留分減殺請求によって、後々訴訟等に発展する可能性がありますので、遺留分に配慮した遺言書を作成することが大事です。