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子ども

学校の部活動中に子どもが怪我をした。子どもが傷害事件を起こしてしまった。出会い系サイトを利用していた子どもが犯罪に巻き込まれた。子どもがスマートフォンを操作していたら高額の請求がきてしまった。
法的トラブルに巻き込まれるのは大人ばかりではありません。むしろ、まだ成熟していない子どもだからこそトラブルに巻き込まれた場合の事態は深刻です。また、学校でのいじめを苦にして自ら命を絶つという痛ましい事件も今なお無くなりません。

弁護士法人川越法律事務所では、学校をめぐる問題、学校での事故、子どもとインターネットをめぐる問題、子どもの非行事件など多くの問題を取り扱ってきました。

子どもの権利を守るため、子どもをめぐる法律問題に精通した弁護士が相談にあたりますので、ぜひご相談ください。

子どもQ&A

学校事故

学校で事故が起きた場合、誰に責任を追及できますか。

公立学校の場合、学校設置者である国や地方自治体に対して、損害賠償責任を追及します。公務員個人である学校の教師らは、原則として責任を負いません。
私立学校の場合,学校設置者である学校法人に対して、損害賠償責任を追及します。担任の教員など、事故について責任を負うべき教職員個人がいる場合には、損害賠償責任を追及できます。校長など、学校設置者に代わって教職員を監督する者がいる場合には、教職員が加えた損害について、教職員を監督する者に対しても損害賠償責任の追及ができます。
このような損害賠償請求の根拠としては、専門的な話になりますが、国家賠償法や民法になります。どのような法律や法律構成を根拠とするかによって、請求が出来る期間(時効)や両親などの近親者の慰謝料請求権の有無について違いがあります。請求をする場合には、弁護士に相談してください。

小学生の息子が、体育の授業でサッカーをしていて、別の子が蹴ったボールが当たってケガをしました。蹴った子やその親の責任を問えますか。

スポーツは身体の動きを伴う活動なので、もともとケガ等の事故の危険性を内在しています。ですから、スポーツ中の事故については、一般的に著しいルール違反等がない限り、ケガをさせてしまった人の責任は認められません。したがって、サッカーに乗じて、わざとケガをさせたなどの事情がなければ、蹴った子やその親の責任を追及することは出来ないと考えられます。

それでは、学校側の責任は問えますか。

体育の授業で怪我をした場合に、学校側の責任が問えるか否かは場合によりけりです。体育の授業では、ケガ等の事故の危険性を内在していますから、学校側には、危険を予見し、適切な対応をする義務があります。もっとも、体育の授業において、あらゆる危険を完全に排除することは不可能です。
体育の授業で学校側の責任が認められるかどうかは、体育種目と程度が子どもの発達段階・能力に照らして適切であるかどうかにもより、学習指導要領やそれに基づく指導書が重要な基準の一つになります。
過去の裁判例では、小学校6年生に授業でサッカーの試合をさせた措置について、授業が学習指導要領に基づいていたことを主な理由として学校側の責任を認めていません。

 

それでは、体育の授業でケガをして、ケガをさせた子らや学校側に責任を問えない場合に、子どもの治療費などについてなんらの補償もないのでしょうか。

学校側に責任がない場合でも、日本スポーツ振興センターから災害共済給付が支給されます。これは、授業・課外活動・休み時間・通常の経路及び方法での登下校中など、学校の管理下において災害(負傷・疾病・障害又は死亡)が発生したときに給付されます。災害共済給付には、医療費・障害見舞金・死亡見舞金があります。5000円以上の治療費がかかった場合に、医療費として給付されます(ただし全額とは限りません。)。
対象となる学校は、小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・高等専門学校・幼稚園・幼保連携型認定こども園及び保育所等です。
学校事故にあった場合は、必ず支給を受けるようにしましょう。

 

中学生の娘は柔道部に所属しています。部活の練習中、他の部員に投げられて頭を打ったために重症を負いました。学校側の責任を問えますか。

部活動中に発生した事故が、学校側の負う安全配慮義務の範囲内であれば、事故について責任を負います。顧問の教員が負う安全配慮義務について最高裁の判例は、「教育活動の一環として行われる学校の課外のクラブ活動においては、生徒は担当教諭の指導監督に従って行動するのであるから、担当教諭は、できる限り生徒の安全にかかわる事故の危険性を具体的に予見し、その予見に基づいて当該事故の発生を未然に防止する措置を執り、クラブ活動中の生徒を保護すべき注意義務を負うものというべき」(最高裁平成18 年3 月13 日判決)としています。ちょっと難しいですが、顧問の教員の負う安全配慮義務は、個別の事情から具体的に判断されることになります。
このように、学校側の責任を問えるかは個別具体的事情によりますので、弁護士に相談してください。

市立小学校に通う小学生の息子が、休み時間中に校庭の遊具で遊んでいたところ、遊具が息子の方に倒れてきて下敷きになり、ケガをしました。学校側の責任を問えますか。

公立学校で、遊具の設置又は管理に「瑕疵」があった場合には、学校設置者である市に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。設置又は管理の「瑕疵」とは、物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます。瑕疵があるかどうかは、その物の構造・用法・場所的環境及び利用状況などの事情を総合考慮して、具体的、個別的に判断すべきとされています。
このように、学校側の責任を問えるかは個別具体的事情によりますので、弁護士に相談してください。

 

いじめ

子どもが学校でいじめに遭っているようです。まず、どうしたらよいのでしょうか。

親もいじめを直接見ていないため、まずは事実確認をする必要があります。子どもがいじめに遭っている場合、親に話せない子どもも多いようです。まずは、子どもが話したい時はいつでも話せる環境を整えるよう努め、子どもから事実関係について聞き取ってください。
また、学校の教師に確認したり、差し支えのない同級生の保護者に聞いてみる等、様々なアプローチで事実を確認する必要があります。

子どもが学校でいじめに遭いました。いじめた子の親から謝罪もなく、許せません。学校や相手の親の責任を追及したいのですが。

いじめの問題に対する対応には、非常に注意が必要です。親としては、学校やいじめた子の親の責任を追及したい気持ちもあるかもしれませんが、それがいじめられた子どもにとって最善な方法であるのか、よく検討する必要があります。子どもが学校に行きづらい気持ちになったり、新たないじめを誘発しかねず、さらに子どもを追い込んでしまうおそれがあります。それではむしろいじめの解決が遠のいてしまいかねません。
学校との協力が必要です。まずは、事実関係を学校側に伝え、解決に向けて協力を要請し、具体的な対応を話し合いましょう。学校との話合いや相談を行った時期、話した内容は、記録しておくように努めましょう。
一方、子どもの生命・身体の安全が脅かされ緊急対応が必要なケースもあります。そのような場合は、速やかに警察や弁護士に相談すべきです。

子どもが学校でいじめに遭い、ケガをしたり、金銭を要求されていじめた子に渡したりしました。いじめた子やその親の責任を問えますか。

刑法上、わざと怪我をさせれば傷害罪、相手を畏怖させる程度の暴行や脅迫により金銭の要求をした場合は恐喝罪にあたりえます。このように、いじめの態様によっては犯罪行為となる場合があります。
この場合、警察への相談、被害届提出や刑事告訴をすることも考えられます。その場合、まずは診断書や詳細な日記等、犯罪行為の証拠を保全しておく必要があります。もっとも、刑事事件化することが、いじめられた子どもにとって最善な方法であるのか、よく検討する必要があります。
また、いじめた子や親に対して、民事上の請求をすることも考えられます。治療費・慰謝料・渡した金銭の返還請求等です。もっとも、いじめた子に責任能力がない場合、損害賠償責任を負いません。責任能力の有無は、一般的に12歳前後の年齢が分かれ目です。いじめた子に責任能力が認められても、賠償に足りる資力を持っていないことが多いため、親等の監督義務者に責任を問うほうが損害を回復できる可能性が高いと考えられます。

子どもが学校でいじめられており、学校に対応を求めていましたが、きちんと対応をしてくれませんでした。そうしているうちに、子どもが自殺未遂をしてしまいました。学校の責任を追及できますか。

親が事実関係を学校側に伝え、協力を要請したにもかかわらず、学校側がきちんと対応していなかった場合、学校や教師に対して、監督義務違反・注意義務違反に基づく損害賠償請求をすることが考えられます。この場合、学校側に責任を認めるかの判断において、学校側がどのような事実を認識していたか、どのような事実を予見可能であったか、という点が重要です。このようなことを、損害賠償を請求する側のほうで主張と立証をする必要があります。

 

子どもとインターネット

子どもが勝手にインターネットで高額な物品を購入し、親である私のカードで決済をしてしまいました。この契約を取り消すことはできませんか。

未成年は、民法上、単独で契約等の法律行為をする能力が制限されています。子どもが、親などの法定代理人の同意なく契約した場合は、子ども自身や法定代理人は、その契約を取り消すことができるのが原則です。
また、親は、自身が高額な物品を買う意思がなかった以上、原則として支払う義務はありません。
しかし、インターネットでの物品購入のような非対面の電子商取引では、簡単に子どもが大人になりすますことができてしまいます。そのようななりすましを防止するために、本人確認方法が存在し機能している場合には、取引を取り消すことができません。

上記の場合で、この契約を取り消せないのであれば、親が支払う義務があるのですか。

本人確認方法が存在し機能している場合には、親は支払義務を免れません。
一方、本人確認方法が存在していなかった場合には、親は、自身が高額な物品を買う意思がなかった以上、原則として支払う義務はありません。しかし、親がカードをしっかり管理していなかった場合には、親は支払義務を免れないことがあります。

子どもがスマートフォンをいじっていたら、誤操作をしたようで高額の請求がきてしまいました。払わなければ行けないのでしょうか。

誤操作によって高額請求が来てしまった場合には、民法上、錯誤(いわゆる勘違い)として、契約の無効を主張できます。もっとも、注意をすれば誤操作を容易に回避できたのであれば、重過失があるとして、錯誤を主張できないのが原則です。
しかし、電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律は、一定の場合を除き、消費者側に重過失がある場合でも、錯誤として契約無効を認めると定めています。
また、インターネットでの物品購入のような契約は、特定商取引法の通信販売に当たるので、一定の場合を除き、商品の引き渡しを受けてから8日間、契約を解除できます。その場合は、商品を返品することになりますが、送料は原則として消費者側の負担になると定められています

出会い系サイトを利用していた娘の裸の画像がインターネット上に出ています。これは犯罪ではないのですか。

裸の画像をインターネット上に流通させた者については、刑法上、わいせつ物陳列罪という犯罪が成立する可能性があります。また、娘さんが18歳未満である場合、裸の画像をインターネット上に流通させた者は、児童ポルノを提供した者として、あるいは児童ポルノの公然陳列罪として、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童売春禁止法)によって処罰される可能性があります。
この場合、警察への相談や、被害届の提出、告訴が考えられます。

上記の場合、インターネット上に出てしまっている画像の削除を求めることができますか。

プロバイダーに対し、画像の削除を求めることができます。
プロバイダーが削除の要請に応じない場合には、裁判所に対して画像の削除を求めることができます。その場合、裁判所は直接画像を削除することはできず、削除をプロバイダーに対して命じることになります。
インターネット上の画像は、時間とともに複製されて被害が拡大するおそれが高まります。速やかに削除を求めることが必要です。

 

少年事件

子どもがコンビニで万引きをして逃げる際に、追いかけてきた店員の方に怪我を負わせてしまい、逮捕されてしまいました。子どもには刑事罰が科され、前科がつくのでしょうか。

20歳未満の子ども(「少年」といいます。)が刑事事件等を起こした場合を、少年事件といいます。少年事件には、刑事事件のみではなく、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年(「ぐ犯少年」といいます。)事件も含まれます。
ここでは刑事事件の場合を説明します。少年が刑事事件をおこした場合、成人の場合とは手続が異なります。これは、少年法が、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うことを目的としているからです。
少年の場合、成人の場合と異なり、逮捕勾留後には、家庭裁判所での非公開の少年審判という手続で少年の処遇が判断されることが多いのです。その場合、前科にはなりません。少年審判で少年院への収容が決定したとしても、それは刑事罰ではありません。
もっとも、少年事件でも、殺人や強盗等の重大な事件で、成人と同じように刑事処分を受けることが相当である場合には、例外的に、家庭裁判所の裁判官は検察官送致(「逆送」といいます)の判断をします。逆走された場合、成人と同じ手続で進められ、公開の法廷で裁かれ、刑罰が科されることがあります。
今回の事件は、刑法上、事後強盗致傷に当たる可能性があります。事後強盗致傷は、重大な事件ですから、犯行態様等によっては、逆送される可能性もあります。

 

子どもが逮捕された場合、どのように刑事の手続きは進みますか。

まず、逮捕されてしまった場合、その後の勾留までは大人の場合と同様に扱われます。詳しくは刑事事件の箇所をご参照ください。
逆送されない場合には、勾留満期の日に、少年は家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所への送致後到着から24時間以内に、家庭裁判所の裁判官が、少年について観護措置の決定を下します。観護措置とは、少年の処分を適切に決めるための検査等が必要な場合に、少年を少年鑑別所に送致し、一定期間そこに収容することをいいます。観護措置期間は、通常、審判までの2~4週間です。
監護措置期間後、家庭裁判所で非公開の少年審判という手続が行われます。この手続で、少年の処分が決まります。

 

少年の処分には、どんなものがありますか。

少年に、なんらの処分をしないことを決定することもあります(「不処分」といいます。)。
一方、少年を更生させるために、保護処分を決定することもあります。保護処分には、保護観察・少年院送致・児童自立支援施設等送致の3種類があります。
保護観察は、決められた約束事を守りながら家庭などで生活し、保護観察官や保護司から生活や交友関係などについて指導を受けます。保護観察官や保護司の指導・監督を受ければ社会内でも更生できると判断された場合には、保護観察に付されます。
少年院の種類は、少年の年齢・心身の状況及び非行傾向等を基準として、4種類に分けられています。
児童自立支援施設と児童養護施設は児童福祉法上の支援を行うことを目的として設けられています。開放的な施設であり、家庭的な環境の中で少年を指導します。

 

試験観察とはなんですか。

上記のように,家庭裁判所の審判で,少年の処分を決めます。しかし,少年の性格や環境等によっては直ちに少年に対する処分を決めることができない場合があります。その場合,少年に対する最終的な処分を決めるために,家庭裁判所調査官が,一定の期間少年を観察します。これが試験観察です。
家庭裁判所調査官が,少年に助言や指導を与えながら,少年が自分の問題点を改善していこうとしているかどうかといった視点で少年を観察します。この観察の結果を踏まえて,少年に対する最終的な処分が決められます。

子どもが逮捕された場合、弁護士にどのような活動をしてもらえますか。

まず、少年が逮捕・勾留された場合、弁護士は、成人の場合と同様に刑事弁護人として弁護活動を行います。詳しくは刑事事件の箇所をご参照ください。
少年が家庭裁判所に送致された時からは、弁護士は「付添人」という名で少年を弁護します。少年及び保護者は、付添人を選任することができます。