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国選弁護人とは

コラム

2022年01月11日

国選弁護人

日常生活を送るなかで、「刑事事件」と聞くと自分とは関係のない遠い場所での出来事に感じてしまいます。しかし、ひょんなことから私たち自身や身近な人などが警察に逮捕されてしまうことがあります。その場合には、逮捕されてしまった人自身やご家族の方が弁護士に直接刑事弁護の依頼をする「私選弁護人」の選任が考えられます。しかし、弁護士に刑事弁護の依頼をするには費用が掛かります。そのため私選弁護人を選任することができない場合には、「国選弁護人」の選任を待つことになります。このコラムでは、そんな国選弁護人についてご説明いたします。


逮捕と聞くと、そのまま何日も警察署に留め置かれてしまうイメージですが、正確には、警察自体は逮捕した人を警察署に留め置いておくことができるのは48時間しかありません。警察は48時間以内に釈放するか、検察庁に逮捕した人を送り(送検)、検察官は24時間以内に送検されてきた人を釈放するか、逮捕よりも長い身柄拘束である「勾留」を裁判所に求めるか判断します。裁判所によって勾留が決定されると、勾留を請求された日から10日、警察署の留置場にさらに留め置かれることになります。国選弁護人をつけることができるのは,この勾留決定がなされた後からになります。


それでは、そもそも国選弁護とはどのような制度なのか、また、国選弁護人に選ばれる弁護士はどんな人たちなのかご説明いたします。まず、国選弁護人は、その名の通り、国の費用で選任された弁護士(弁護人)のことをいいます。そのため、弁護士に支払うべき報酬は国が負担することになります。次に、弁護士であれば誰でも国選弁護人に選任されるイメージがありますが実は違います。国選弁護人は、事前に国選弁護人に選ばれることを望んだ弁護士のみが選ばれる仕組みとなっています。


このように、国選弁護人とは、勾留決定がなされた直後に国によって選任され弁護活動をおこなう弁護士のことを指します。国選弁護人選任の要望は、逮捕され勾留決定がなされてしまった段階から行うことができるため、私選弁護人を選任できない場合には、国選弁護人の選任手続を行うようにアドバイスするのがよいでしょう。

 

 

執筆者:染谷俊紀

当事務所では数多くの刑事事件を取扱ってきました。国選事件のみならず私選事件の経験も豊富です(事務所全体で年間100件程度の刑事事件の弁護人を担当しています。)。刑事事件でお困りの方はご相談ください。